■アーティスト:NATION OF LANGUAGE(ネイション・オブ・ランゲージ)
■タイトル:DANCE CALLED MEMORY(ダンス・コールド・メモリー)
■品番:未定[CD]/SP1700LPXJ[LP]
■定価:未定[CD]/未定[LP]
■その他:世界同時発売、解説付
■発売元:ビッグ・ナッシング/ウルトラ・ヴァイヴ
■収録曲目:
01. Can't Face Another One
02. In Another Life
03. Silhouette
04. Now That You're Gone
05. I'm Not Ready for the Change
06. Can You Reach Me
07. Inept Apollo
08. Under the Water
09. In Your Head
10. Nights of Weight
●シンセポップ、ミニマル・ウェイヴ、ポストパンク、ゴス、ニュー・ロマンティックなど、ファンも批評家も、古き良き専門用語をひもとき、Nation of Languageの魅惑的な作品を形容してきた。結果、バンドを的確に定義できないなら、それこそが正解である。フロントマンのIan Richard Devaneyは、シンセを駆使した音楽が呼び起こすものを拡張させることに長けており、彼のアウトプットは超感覚的な旅であると同時に、あまりにも人間的な目的地でもある。その経験を念頭に、彼はバンドの4枚目のアルバムで、スペクトラルで雄大な『Dance Called Memory』を、座ってギターをかき鳴らしながら憂鬱を少しずつ解き放つという、極めて謙虚な方法で書いた。「個々の絶望を慰めとなる集団的な哀しみへと魂を込めて変換すること」こそが、Devaneyの使命だ。悲痛なまでに深く響き渡るシングル「Now That You’re Gone」は、彼のゴッドファーザーがALSで悲劇的な死を遂げたのを目の当たりにし、両親が病に苦しむ友人の介護にあたった経験からインスピレーションを得ている。その核心は、友人同士が互いに支え合うことの大切さの反映であり、アルバム全体を通して共通するテーマ、すなわち崩れ去る友情の痛みと失われた希望を浮き彫りにしている。『Dance Called Memory』で、バンドは友人であり、『Strange Disciple』のプロデューサーでもあるNick Millhiser(LCD Soundsystem、Holy Ghost!)と再びコラボレーションを果たした。「Nickの素晴らしいところは、僕らが期待されていることをやらなくてもいいと思わせてくれるところだ」と、ベースのAlex MacKayと共にNation of Languageのラインナップを締めくくるシンセ・プレイヤーのAidan Noellは語る。彼らは『Dance Called Memory』に、変化に富んだ表現手法を吹き込んだ。「I’m Not Ready for the Change」では、切り刻まれたドラム・ブレイクをサンプリングして『Loveless』時代のMy Bloody Valentineを彷彿とさせ、「In Another Life」ではパーカッションを全てシンセで叩き潰して、2000年代初頭のエレクトロニック・ミュージックを想起させる。最終的に彼らが目指したのは、シンセを多用したアルバムに、生々しい脆さと人間性を織り込むことだった。「KraftwerkとBrian Enoの思想には二分法(あるものを二つの対立するカテゴリーに分ける考え方)が存在し、それぞれが持つ異なる点に惹かれてきた。Kraftwerkは音楽から人間味をすべて排除しようとしたという記事を読んだことがあるが、Enoは人間味あふれるシンセ・ミュージックを作りたいとよく語っていた。Kraftwerkからは音楽の基礎となる影響を得たが、今回のアルバムではEnoの思想に大きく傾倒した。AIの台頭によって急速に人間のクリエイターが置き換えられつつあるこの時代において、僕は人間のあり方にもっと焦点を当てる。つまり、それを支える根底にある音楽が必要なのだ。絶望感ではなく、私たちが本当にお互いを理解しているという感覚、そしてそれぞれの苦闘が共感によって私たちを結びつけるという意識をリスナーに残したいんだ」とDevaneyは語る。
●米ブルックリンで結成されたシンセ・ポップ・バンド。メンバーはIan Richard Devaney(Vo、G、Syn、Per)、Aidan Noell(Syn)、Alex MacKay(B)。Nation of Languageの最初の2枚のアルバム『Introduction, Presence』(2020年)と『A Way Forward』(2021年)は、パンデミックによる天の恵みともいえ、私たち共通の憂鬱に寄り添う、美しく共感できるサウンドトラックとなった。しかし、3枚目のアルバム『Strange Disciple』(2023年)で、彼らは文化的に際立つ存在から批評家より大絶賛される存在へと向上。アルバムはRough Tradeの年間ベストアルバムの1位に選出され、「より大きく、より良くなるとはどういうことかを学びつつある」とPitchforkに評された。